先に結論です。新潟市の訪問看護55事業所のサイトを1件ずつ開いたところ、採用の入口ページがあるのは43件でした。ただし給与額まで書いてあるのは16件、応募フォームまであるのは21件で、入口から給与、応募までが1本につながっていたのは6件(10.9%)だけでした。
訪問看護は、いま新潟でいちばん人が足りない現場のひとつです。そして採用の入口は、ほぼ確実にホームページです。求人媒体で見つけた人も、応募する前に必ず事業所名で検索します。そこで何が出てくるかで、応募するかどうかが決まります。
うちの料金と進め方は料金と進め方に先に出してあります。以下、数えかたも結果も全部書きます。
<!-- def --> オンコールとは、夜間や休日に電話を受けられる状態で待機し、必要なら訪問する当番のことです。訪問看護で働き手がいちばん気にする条件です。
何を、どうやって数えたか
測定日は2026年8月16日です。
- 名簿:手元にある新潟市の訪問看護事業所102件の名簿から、事業所または運営法人が自分のサイトを持っている57件を対象にしました。名簿は介護サービス情報公表システムの掲載内容をもとに作ったものです
- 開けなかったもの:2件を除外しました。1件はアクセス時にHTTP 403が返り、もう1件はドメイン名を解決できませんでした(サイトURLが古い可能性があります)
- 分母:残った55事業所です
判定は次の4段階に分けました。「採用ページがあるか」を一発で判定すると、判定する側のさじ加減で数字が5%くらい動きます。実際、最初に書いた判定プログラムは基準を少し変えるだけで結果が41件と39件の間で揺れました。揺れない形にするために、関門を分けています。
| 関門 | 判定の中身 |
|---|---|
| 1. 入口 | トップページに「採用」「求人」「リクルート」等のリンクがあり、その先のページが実在する |
| 2. 中身 | その先に募集要項レベルの語(雇用形態・勤務時間・応募資格・待遇・休日など)が2種類以上ある |
| 3. 給与 | 給与額が数字で書いてある |
| 4. 応募 | 応募フォームがある(ページ内のフォーム、または外部の応募サービス) |
採用ページの下の階層(募集要項・職種一覧・エントリーなど)も最大6ページまで開いて判定しました。採用ページ以下で開いたページは合計206枚です。
数えかたの弱点も先に書きます。判定はHTMLから辿れるリンクを基準にしています。JavaScriptで後から描画されるメニューの奥にだけページがある場合は拾えていません。 また、給与額は入力欄(「希望年収」のプルダウンなど)を除いて数えていますが、画像の中に書かれた金額は読み取れていません。つまりこの数字は下限です。
なお、この記事を書く過程で自分の判定プログラムの不具合も2つ見つけました。1つはURLの「www」の有無でサイト内リンクを別サイト扱いにしていたもの、もう1つは採用サイトが別ドメインにある場合を拾えていなかったものです。どちらも直してから数え直しています。直す前は、実際には採用サイトを持っている事業所を「なし」と数えていました。
関門1:採用の入口があるのは43件
| 関門 | 通過した事業所 | 分母 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 1. 採用の入口がある | 43 | 55 | 78.2% |
| 2. 募集要項の中身がある | 34 | 43 | 79.1% |
| 3. 給与額が書いてある | 16 | 43 | 37.2% |
| 4. 応募フォームがある | 21 | 43 | 48.8% |
| すべて通過 | 6 | 55 | 10.9% |
関門2から4は、入口を通った43件を分母にしています。関門3と4は関門2を通ったものだけを数えているわけではないので、厳密な一本道ではありません。
入口があった43件のうち、39件は事業所または法人のサイトの中にあり、4件は別ドメインの採用専用サイトでした。別ドメイン型は全国展開の法人と、複数施設を持つ医療法人に集中しています。
入口が見つからなかった12件は、事業所や法人の紹介・サービス案内で終わっている構成でした。1件は求職者向けの電話番号だけがトップにあり、募集の中身を書いたページはありませんでした。
関門3:給与額まで書いてあるのは16件
ここがいちばん落ちました。入口を通った43件のうち、給与額が数字で書いてあったのは16件(37.2%)。裏を返すと、採用の入口までは作ったのに、給与を書いていない事業所が27件あります。
書いてあった16件は、たとえばこういう形です。
- 月給24万円台から30万円、パートは例えば時給1,400円から2,000円(サービス付き高齢者向け住宅の看護業務)
- 常勤管理職は年収360万円から540万円、常勤一般職は年収300万円から396万円
- 月収25万円から26万円程度、年収380万円から500万円程度(看護師・正社員)
金額の高い低いはここでは問題ではありません。書いてある事業所と書いていない事業所が並んだとき、求職者がどちらを先に開くかという話です。転職を考えている看護師が最初に知りたいのは、理念でも沿革でもなく、条件です。
給与を書いた16件のうち4件は、医師の年収が混ざっていた
もうひとつ気になったことがあります。給与額が見つかった16件のうち4件は、同じ採用ページの中に医師の年収が並んでいました。他社の例で言うと「年収約1,350万円」「1年次の基本給35万円台・当直手当あり」といった記載です。
これは法人まるごとの採用ページを1枚で運用しているために起きています。読む側からすると、看護師の条件を探しているのに医師の待遇が先に出てくる状態です。職種で分けていないページは、どの職種の人にとっても読みにくくなります。
採用ページに「訪問看護」の語がないのが17件
入口を通った43件の採用ページ(とその下の階層)を調べると、「訪問看護」という語が出てくるのは26件(60.5%)でした。看護職を指す語(看護師・看護職・准看護師を含む)まで広げると36件(83.7%)です。
| 採用ページに出てくる語 | 事業所数 | 割合 |
|---|---|---|
| 「訪問看護」がある | 26 | 60.5% |
| 看護職の語がある | 36 | 83.7% |
| 看護職の語がない | 7 | 16.3% |
つまり17件は、採用ページに「訪問看護」の3文字がありません。 病院や施設全体の採用ページに訪問看護部門がぶら下がっている形で、訪問看護の求人としては読めない状態です。
これは検索の面でもそのまま効きます。「訪問看護 求人 新潟」で調べている人に対して、そのページには照合する語がありません。前に新潟の士業15事務所を開いて、相続の受け皿ページを数えたで書いたことと同じ構図で、受け皿はあるが、探している言葉が受け皿の中に入っていないという状態です。
関門4:応募フォームがあるのは21件
応募フォームは、入口を通った43件のうち21件(48.8%)にありました。内訳はページ内のフォームが18件、外部の応募サービスが3件です。
残る22件は、電話番号か、メールアドレスの記載か、履歴書の郵送先の案内で終わっていました。実際に「履歴書を持参または郵送」と明記していた事業所もあります。
在職中の看護師が転職を検討するのは、多くの場合が夜です。その時間に動かせるのはフォームだけで、電話も郵送も翌日以降になります。ここで一晩空くと、比較検討の相手はほかの求人に移ります。
土台の部分は、もう差がついていない
念のため、スマホ対応と通信の暗号化も数えました。
| 項目 | 該当 | 分母 | 割合 |
|---|---|---|---|
| スマホ表示の指定(meta viewport)あり | 51 | 55 | 92.7% |
| httpsで配信されている | 46 | 55 | 83.6% |
スマホ対応は92.7%まで来ていて、ここはもう差別化になりません。一方でhttpsでないサイトが9件残っています。ブラウザに「保護されていない通信」と出るため、応募フォームを置くなら先に直す必要がある部分です。
手元の名簿のほうが間違っていた
最後に、自分の失敗も書いておきます。この調査に使った名簿には「採用ページ」という列があり、55件のうち51件に○が付いていました。ところが今回1件ずつ開き直したところ、入口を確認できたのは42件で、○が付いているのに確認できなかったものが9件ありました。逆に、○が付いていないのに実際にはあったものが1件あります。
一致したのは55件中45件(81.8%)。5件に1件は、名簿の内容と実際が違っていました。
名簿を作った時点では合っていたのかもしれませんし、判定が甘かったのかもしれません。どちらにせよ、列に○が入っているだけの情報は、営業にも判断にも使えないということです。今回のように開き直して初めて数字になります。同じことは自分のサイトでも起きていて、新潟の制作会社27社を開いて、料金を公開していたのは10社だったのときも、思い込みと実測はずれていました。
事業所側が今日できること
今回の55件を見たうえで、順番をつけるならこうです。
- 給与額を1行入れる:範囲でも下限でも、「経験により応相談」の併記でもかまいません。書いていない27件との差は、それだけで付きます
- 職種ごとにページを分ける:法人まるごとの採用ページに看護師も医師も介護職も並んでいる状態を、職種で割ります
- 「訪問看護」という語をページの中に入れる:17件が入っていません。求職者の検索語と、ページの語をそろえます
- フォームを置く:夜に動ける導線が電話しかない事業所が22件あります
訪問看護向けの制作見本は訪問看護ステーションの制作見本に、医療・介護系の全体は医療・介護のホームページ制作に置いてあります。一覧は制作実績と制作見本からどうぞ。
よくいただく質問
求人媒体に出しているので、ホームページの採用ページは要らないのでは
媒体に出していても、応募前に事業所名で検索されます。今回の55件のうち、採用の入口まであるのは43件、給与額まであるのは16件でした。媒体で条件を見た人が、事業所名で調べ直したときに何も出てこないと、そこで比較から外れます。 媒体は入口を増やすもので、ホームページは検討中の人を残すものなので、役割が違います。媒体を使うなら、なおさら受け皿が要ります。
給与を書くと、既存の職員に知られて気まずくなりませんか
実際によくある心配です。今回書いていた16件も、多くは幅を持たせた書き方でした。「月給24万円台から30万円」「年収300万円から396万円」のように、下限と上限、または下限だけを出して、確定額は面談で決める形が中心です。一人ひとりの実額を出す必要はありません。範囲と、何で決まるか(経験年数・資格・訪問件数)を書くだけで、応募を検討する側は判断できます。
採用ページは、事業所のサイトの中と別サイトのどちらがいいですか
今回、入口があった43件のうち別ドメインの採用サイトは4件で、いずれも複数施設を持つ法人でした。事業所が1か所なら、既存サイトの中に採用ページを作るほうが有利です。 別サイトにすると、事業所サイトが積み上げてきた検索の評価がゼロから始まりますし、更新する場所が2つに増えます。施設が複数あって職種も多い法人であれば、分けたほうが整理しやすくなります。
何から手を付けるのがいちばん効きますか
給与額です。今回の4つの関門で、いちばん落ちたのがここでした(入口を通った43件のうち16件、37.2%)。ページを作り直さなくても、既存の採用ページに数行足すだけで済みます。次がフォームで、次が職種の分割です。 デザインの刷新は最後で構いません。
まとめ|新潟 訪問看護 ホームページ 求人の実測結果
2026年8月16日に、新潟市の訪問看護55事業所のサイトを開いて数えた結果です。
- 採用の入口があるのは43件(78.2%)。うち4件は別ドメインの採用サイト
- 募集要項の中身まであるのは34件(入口を通った43件の79.1%)
- 給与額まで書いてあるのは16件(同37.2%)。うち4件は同じページに医師の年収が混在
- 応募フォームまであるのは21件(同48.8%)。残る22件は電話・メール・郵送のみ
- 採用ページに「訪問看護」の語がないのが17件
- 入口から応募まで1本につながっていたのは6件(10.9%)
- スマホ対応は92.7%まで普及。一方でhttpsでないサイトが9件残る
差がついていたのは、サイトがきれいかどうかではありませんでした。条件が数字で書いてあるか、応募までの導線が夜でも動くかの2点です。自分の事業所のサイトが同じ状態か気になる方は、無料のサイト診断で今回と同じ4つの関門から見ます。
