先に結論です。新潟の士業15事務所のサイトを1件ずつ開いたところ、相続専用の受け皿ページを持っていたのは13事務所でした。ただし相続業務の金額をテキストで公開していたのは7事務所だけで、8事務所は本体とは別に「相続だけの別サイト」をもう1本立てています。
士業のホームページは、はっきり2つに分かれます。「事務所の紹介」で終わっているものと、「相談したい人が着地する場所」を用意しているものです。うちの料金と進め方は料金と進め方に先に出してあります。以下、数えかたも結果も全部書きます。
<!-- def --> 受け皿ページとは、検索して来た人の相談内容にそのまま答える、1つのテーマ専用のページのことです。事務所案内の中の1項目とは別に立てます。
なぜ今この話なのか
国税庁の路線価図・評価倍率表のサイトを2026年8月15日に開いたところ、「(最新) 令和8年版」「(現在、令和8年版をご利用いただけます。)」と表示されていました(国税庁 路線価図・評価倍率表)。路線価は毎年この時期に切り替わり、土地を含む相続の相談が動きはじめます。
なお、路線価図そのものは地図の画像で、金額を機械で読み取れません。この記事では路線価の金額そのものには触れません。「相続の相談が動く時期に、地元の士業サイトはどういう状態か」だけを見ます。
何を、どうやって数えたか
測定日は2026年8月15日です。
- 名簿の作り方:「新潟市 税理士 相続」「新潟市 司法書士 相続登記」「新潟市 相続 税理士事務所」「新潟市 司法書士事務所 相続」「新潟 行政書士 相続 遺言」の5つの検索で出てきたページのうち、事務所が自分で運営しているサイトだけを拾いました
- 外したもの:つぐなび・いい相続・相続プラス・e税理士などの紹介ポータル、各士業会の公式サイト、比較記事。これらは事務所のサイトではないので名簿に入れていません
- 開けなかったもの:行政書士清水雄紀事務所のサイトは接続時にHTTP 403が返り、中身を確認できなかったため除外しました
残った15事務所が分母です。内訳は税理士系6・司法書士6・行政書士3。1事務所が複数のサイトを持っている場合(本体サイトと相続専用サイト)は、事務所単位で1件として数えています。
数えかたの弱点も先に書きます。判定はトップページから辿れるリンクを基準にしています。JavaScriptで後から開くメニューの奥にだけページがある場合、拾えていない可能性があります。 また、所在地は新潟市内が14事務所で、1事務所(行政書士ましこ事務所)は新発田市です。
受け皿ページは15事務所中13
| 区分 | 事務所数 | 割合 |
|---|---|---|
| 相続専用のページがある | 13 | 86.7% |
| 相続専用のページを確認できなかった | 2 | 13.3% |
ここは予想より高い数字でした。相続を扱う士業のサイトは、ほぼ全部が「相続」という入口を独立して持っています。受け皿があること自体は、もう差別化になっていません。
確認できなかった2事務所は、業務案内やカテゴリ一覧の中に相続が混ざっている形でした。片方は報酬ページに相続登記の金額まで書いてあるのに、相続の説明ページがない、という構造です。金額を見に来た人は着地できますが、「相続 手続き 新潟」で調べている段階の人が読む場所がありません。
半数以上が「相続だけの別サイト」を立てていた
いちばん面白かったのはここです。15事務所中8事務所(53.3%)が、本体サイトとは別ドメインで相続専用のサイトを持っていました。
| 分野 | 別サイトあり | 事務所数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 税理士系 | 5 | 6 | 83.3% |
| 司法書士 | 2 | 6 | 33.3% |
| 行政書士 | 1 | 3 | 33.3% |
例を挙げます。L&Bヨシダ税理士法人は本体サイトとは別に「新潟相続協会」というサイトを持っています。司法書士法人トラストも本体とは別に「新潟相続遺言相談ドットコム」を運営しています。ほかにも、新潟駅南 相続手続き代行プラザ(税理士法人 新潟合同事務所 駅南事務所)、新潟相続税相談室(税理士法人 新潟会計アシスト)、新潟相続相談センター(小菅税理士事務所)、新潟相続相談窓口(司法書士法人りゅうと事務所)、新潟あんしん相続サポート(FUNコンサルティンググループ)、新潟相続・遺言サポートセンター(行政書士ましこ事務所)が同じ形です。
税理士系で別サイト率が高い理由は、読む人の違いだと思われます。本体サイトは法人顧問・記帳・決算の顔をしていて、個人の相続とは相手がまったく違います。1つのサイトで2種類の客を相手にするより、分けたほうが話が早いという判断です。
一方で、別サイトを立てると本体サイトの信用が乗りません。実際、別サイト側だけを見ると事務所の沿革や所属専門家の情報が薄いところもありました。分ければいいという話ではなく、分けたぶんだけ受け皿側を作り込む必要があるということです。
金額をテキストで出していたのは7事務所
料金ページまで開いて、書き方を3つに分けました。
| 区分 | 事務所数 | 割合 |
|---|---|---|
| 主要サービスの金額をテキストで公開 | 7 | 46.7% |
| 一部だけ、または画像の中に金額がある | 5 | 33.3% |
| 金額の記載なし | 3 | 20.0% |
公開していた7事務所の例です。金額は各サイトの表示のまま、税込・税抜の区分もサイトの表記に従っています。
| 事務所 | 分野 | 出していた金額の例 |
|---|---|---|
| 新潟相続協会(L&Bヨシダ税理士法人) | 税理士 | 相続手続きパック15.4万円、相続税申告の基本料金20.9万円から |
| 新潟駅南 相続手続き代行プラザ | 税理士 | 相続税申告 財産7千万円以内で55万円、1億円超で99万円 |
| 新潟相続相談センター(小菅税理士事務所) | 税理士 | 相続手続丸ごとサポート15.4万円から、相続税申告9.9万円から |
| アネスト新潟 司法書士事務所 | 司法書士 | 相続登記 報酬4.84万円から(登録免許税は別) |
| おのでら司法書士事務所 | 司法書士 | 相続登記8.8万円程度、相続放棄4.4万円 |
| 新潟相続・遺言サポートセンター | 行政書士 | 相続人の調査3万円、遺産分割協議書の作成5万円から |
| 行政書士さかがみ事務所 | 行政書士 | 相続手続き標準パック8万円から、相続人調査2.5万円から |
注目したいのは「一部だけ、または画像の中」の5事務所です。 このうち2事務所は、料金表を画像として貼っていました。人間の目には見えますが、画像の中の数字は検索エンジンにもAIの回答にも読まれません。 同じことは自分のサイトでも起きていて、JavaScriptが止まると、実績の数字が全部「0」になっていたに書いたとおり、機械から見えない数字は「書いていない」のと同じ扱いになります。
残り3事務所は、料金ページ自体はあっても相続業務の金額に触れていないか、金額の記載がありませんでした。「お見積り」「面談時に概算をご案内」という書き方です。相続は財産の中身で作業量が変わるので理由は分かりますが、下限だけでも出している事務所と並んだとき、選ぶ側の手が止まるのはどちらかという話ではあります。
ちなみに、他社が軒並み初回相談を無料としているなかで、相談料を1,000円と明示した司法書士事務所が1件ありました。有料にしている理由まで書いてあります。金額の大小ではなく、姿勢を先に見せる書き方として印象に残りました。
なお、この「金額を出す割合」は業種によってかなり違います。同じ手順で数えた新潟の制作会社27社を開いて、料金を公開していたのは10社だったでは37.0%でした。士業のほうが、金額を先に出しています。
問い合わせ導線は電話とフォームで頭打ち
| 導線 | 用意している事務所 | 割合 |
|---|---|---|
| 電話番号の掲載 | 15 | すべて |
| 問い合わせフォーム | 15 | すべて |
| LINE相談 | 5 | 33.3% |
電話とフォームは15事務所すべてが持っていました。ここは差がつきません。分かれたのはLINEで、用意していたのは5事務所。そのうち4事務所が、さきほどの「相続専用の別サイト」を持っている事務所と重なります。
相続の相談は、平日の日中に電話をかけにくい立場の人(勤めている子ども世代)が入口になることが多い分野です。フリーダイヤルと24時間受付のフォームを併記している事務所が目立ちましたが、LINEまで用意しているのは3件に1件でした。
この結果をどう読むか
数えていて、受け皿ページの出来は次の3点で分かれていました。
- 相続の中の「何を」やる事務所か書いてあるか:相続登記なのか、相続税の申告なのか、手続き全部の代行なのか。ここが「相続について」だけで終わっているページは、読んでも次に進めません
- 金額がテキストで書いてあるか:下限でも、範囲でも、条件つきでもかまいません。画像の中だけに入れると、検索とAIの両方から消えます
- その事務所の顔が見えるか:別サイトを立てた事務所ほど、ここが薄くなりがちでした
うちが作っている士業向けの制作見本も、この3点で組み立てています。実際の形は税理士事務所の制作見本、司法書士事務所の制作見本、行政書士事務所の制作見本に置いてあります。一覧は制作実績と制作見本からどうぞ。
よくいただく質問
相続のページは、本体サイトの中と別サイトのどちらがいいですか
今回の15事務所では、税理士系は83.3%が別サイト、司法書士と行政書士は33.3%でした。顧問先向けの本体サイトと相続の相談者で、読む人がはっきり分かれるなら別サイトです。そうでなければ、本体サイトの中に専用ページを作るほうが、更新の手間も信用の積み上げも有利になります。 別サイトにする場合は、事務所の沿革・所属専門家・所在地を受け皿側にも載せてください。今回、そこが薄いサイトが実際にありました。
料金を出すと、安いところと比べられて不利になりませんか
今回数えた範囲では、金額をテキストで出していたのは15事務所中7事務所でした。出している事務所も、多くは「下限+条件」の形です。 相続登記4.84万円から、相続手続き標準パック8万円から、といった書き方で、内訳と別途費用を併記しています。総額を確約する必要はなく、下限と「何が含まれるか」を書くだけでも、問い合わせ前の比較検討には十分に載ります。
料金表を画像で作ってしまっています。作り直すべきですか
作り直しをおすすめします。画像の中の文字は、検索エンジンにもAIの回答にも読まれません。 今回も2事務所が料金表を画像で貼っていて、テキストとしては金額が1つも取れませんでした。表として組み直すのがいちばん確実です。手が回らない場合でも、画像の近くに主要な金額を文章で書き添えておけば、機械から見える状態になります。
相続の相談は、ページを作れば本当に来ますか
ページを置いただけでは来ません。来るのは、相談する側が自分の状況を見つけられたときです。
今回数えた15事務所のうち、受け皿ページがあったのは13事務所でした。差がついていたのは有無ではなく、中身のほうです。「相続手続き」とだけ書いてあるページがあります。「兄弟と連絡が取れないまま名義変更が止まっている」まで書いてあるページとでは、読んだ人が自分の件だと気づけるかが変わります。ページの数より、書いてある状況の細かさで決まります。
まとめ|新潟の士業サイトと相続の受け皿ページ
2026年8月15日に新潟の士業15事務所のサイトを開いて数えた結果です。
- 相続専用の受け皿ページがあるのは13事務所(86.7%)。受け皿があること自体は差別化にならない
- 8事務所(53.3%)が相続だけの別サイトを持っている。税理士系は83.3%と突出
- 相続業務の金額をテキストで公開しているのは7事務所(46.7%)。5事務所は一部だけ、または画像の中
- 電話とフォームは15事務所すべてが用意。LINEは5事務所(33.3%)にとどまる
差がついていたのは「受け皿があるか」ではなく、受け皿の中に、何をいくらでやるかが機械にも読める形で書いてあるかでした。自分のサイトが同じ状態かどうか気になる方は、無料のサイト診断で同じ観点から見ます。
出典:国税庁 路線価図・評価倍率表(2026年8月15日確認)
