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2026.09.04コラム

インスタを続けても予約が増えない治療院に足りない1つ|医療サイト制作者の書評

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インスタを続けても予約が増えない治療院に足りない1つ|医療サイト制作者の書評

「インスタ、うちもやったほうがいいですか」。ホームページの打ち合わせで、接骨院の院長からこう聞かれることがあります。

すでに始めている院もあります。施術メニューの写真を週に何回かあげているのに、フォロワーは知り合いばかり。

予約はひとつも増えていない。そういう相談です。

僕はこれまで、正直に「分かりません」と答えていました。自分がインスタで結果を出したことがないからです。

知ったかぶりで答えちゃうのが、いちばん嫌なので。

今回、クラウドワークスの企画で『インスタで売れる全技術』(津金澤健人さん・技術評論社)を読む機会をもらいました。

SNSマーケターとして1,000超のアカウントを添削してきた方の本で、僕なんかより桁違いに現場を見ている人です。

取り上げた本:『インスタで売れる全技術』津金澤健人さん著・技術評論社
取り上げた本:『インスタで売れる全技術』津金澤健人さん著・技術評論社

書籍の詳細はAmazonの商品ページにあります。

先に結論を書きます。インスタの本を読んで出てきた答えは、インスタの中にはありませんでした。

「投稿の前に決めることが1つある」。院長への返事は、これに変わりました。

褒めるだけの書評にはしていません。医療・治療院ではそのまま使えない章も、後半でちゃんと書きます。

僕の仕事と、インスタの使い方

まず、どんな立場で読んだかを書いておきます。

本業は病院勤務の理学療法士で、15年目です。副業として、新潟で医療・介護・治療院のホームページ制作と記事の運用を一人でやっています。

営業先は接骨院、介護事業所、訪問看護ステーション。どこも、インスタを「やったほうがいいらしい」と言われている業種です。

インスタは、正直まだ初心者です。営業用のアカウントを作ったのが今年の8月で、投稿は3本。

白い背景に文字だけのカードで、顔は出していません。見た目は地味なんですけど、これが今の全部です。

営業の連絡はメールかインスタのDMだけと決めているので、接骨院に案内を送る窓口です。

失敗も1つあります。4院にDMを送ったとき、文面がほぼ同じだったせいで、3通目で「一括送信」と判定されて止められました。

この本の第2章に、短時間での過剰なアクションがシャドウバンの原因になると書いてあって、読みながらちょっと痛かったです。

要するに、投稿する側としては素人のまま読んでいます。

印象に残ったのは、投稿の前に「誰の悩みか」を決める第3章

本は10章立てです。

フォロワーを増やす道のり、アルゴリズム、コンセプト、プロフィール、投稿と進み、後半はストーリーズ、リール、インサイト、ライブ、SNS全体設計。

本の10章を、治療院で使える章と注意する章に仕分けた表
本の10章を、治療院で使える章と注意する章に仕分けた表

いちばん残ったのは第3章です。本でいうコンセプトとは、誰のどんな悩みに応えるアカウントかを先に決めることです。コンセプトは「ペルソナの悩み」「自分の好き・得意」「市場」の3つの円が重なる場所に置く。

悩みは想像で作らず、20個集めてから緊急性と重要性で絞る。集める場所として、Yahoo!知恵袋やAmazonの低評価レビュー、競合のコメント欄が挙がっています。

これ、ホームページの原稿を作るときに僕がやっていることと同じなんですよね。僕は知恵袋の相談を1件ずつ開いて、数えてから書きます(ホームページ制作の相談50件を数えた記事がその例です)。

インスタだけ特別な魔法があるわけじゃなくて、順番は同じ。やっぱりそこか、と分かったのが収穫でした。

もう1つは、第10章の2つ目の事例です。

駅から車で20分の自宅サロンが、インスタで出していた店内写真や動画をGoogleマップにも載せて、口コミには2日以内に返す。

それでGoogleマップ経由の新規が月4名で安定して、売上が5割増しになった話です。

インスタの本なのに、いちばん効いた打ち手が地図の側にある。著者自身も「インスタ単体で完結させようとしてはいけない」と言い切ります。

地図とホームページを作る側の僕には、この章がいちばん実務に近かったです。

インスタは人柄、Googleマップは場所と口コミ、ホームページは施術と料金。3つに役割を分ける図
インスタは人柄、Googleマップは場所と口コミ、ホームページは施術と料金。3つに役割を分ける図

気づいたこと、試すこと

読んで終わりにしないために、自分のアカウントで確かめることを決めました。気づきは3つです。

1つ目。第4章にあるプロフィール名の5要素(名前・ターゲット・権威性・パワーワード・内容)で、自分のアカウント名を数えてみました。

入っているのは名前・ターゲット・内容の3つ。権威性の欄が空白でした。

自己紹介の投稿には「医療の現場で働きながら」とだけ書いて、資格名は出していません。

だからここは資格名じゃなく、作ったサイトの本数みたいな数字で埋められないか、いま考え中です。

2つ目。「フォロワー以外の閲覧が4割を超えた投稿は宝の原石」という第1章の基準です。

投稿3本の僕には、まだ測る数がありません。でも、次の10本はインサイトの「フォロワー以外」だけを見ると決めました。

3つ目。試すのは第6章のストーリーズです。

本ではストーリーズを「反応を増やす」「商品に興味を持ってもらう」「行動を促す」の3段階に分けてあります。僕がやったのは、いきなり3段階目のDMでした。

止められた原因は、たぶんここを飛ばしたことです。まず自分のアカウントで、質問箱とアンケートの段階を1か月くらいやってみます。

投稿を増やすより先に、順番を守る。僕にはこっちのほうが効きそうです。

合わなかったところ

医療・治療院の視点で読むと、そのまま使えない部分がはっきりあります。ここは率直に書きます。

第6章の「効果的な商品誘導や集客につながる5つの心理テクニック」です。本日限定で先着何名様、今だけ50%OFFで見逃すと損、本気で痩せたい人以外見ないで。

飲食やサロンなら効く言い回しですけど、医療機関には壁があります。

医療機関の広告は医療広告ガイドラインで、費用の強調や患者の体験談、ビフォーアフターの扱いが厳しく制限されます。

接骨院は2025年2月に出た「あはき・柔整広告ガイドライン」で、表現の幅がさらに狭いんです。接骨院のホームページで引っかかりやすい言い回しは、別の記事で知恵袋の相談から数えています。

同じ章の「お客様の声をストーリーズで再シェアする」も、治療の効果に触れる内容は医療機関では広告に使えません。

本が悪いわけじゃありません。本の読者の中心が飲食・美容・物販で、医療がそもそも想定に入っていないんです。

院長がこの章をそのまま真似すると、集客より先に広告ガイドラインに触れる可能性があります。

第6章の心理テクニックと第9章の限定プレゼント企画は、僕が間に立って仕分けしないと渡せない。ここはちょっと手間です。

「使える表現」と「使えない表現」を分ける作業込みで、クライアントに勧める本だと感じました。

同業のどんな人に役立つか

向いている人と向いていない人を、分けて書きます。

まず、僕と同じく医療・介護のホームページを一人で作っていて、「インスタもやったほうがいい?」と聞かれて答えに詰まる人。

第3章と第10章だけでも、ホームページと地図とインスタの役割分担を、クライアントに図で説明できるようになります。

次に、接骨院や訪問看護の院長・管理者で、投稿は続いているのに予約が増えない人。役に立つのは、第4章のプロフィールの要素と、第8章の切り分けです。

第8章には「リーチはあるがプロフィールに来ない」「プロフィールには来るがフォローされない」みたいに、止まっている場所ごとの直し方が並んでいます。

どこで止まっているかが数字で分かるのは、けっこう安心できますよね。ただし第6章の心理テクニックは、上に書いた理由で読み飛ばしてください。

逆に、フォロワーを短期間で増やす裏ワザを探している人には向きません。

著者自身が、ハッシュタグを大量につけるとかリポストとか、フォローとアンフォローの繰り返しは逆効果だと最初に書いてあります。

よくいただく質問

治療院がインスタを始めるなら、何から手をつけますか

投稿ではなく、誰のどんな悩みに応えるアカウントかを1つ決めるところからです。本の第3章の手順どおり、知恵袋や口コミで患者さんの言葉を20個集めてから絞ります。

フォロワーが少ないうちは意味がないですか

本では、フォロワー以外の閲覧が4割を超える投稿を、伸びしろのある投稿として扱っています。数より、誰に届いたかをインサイトで見るほうが先です。

「本日限定」「今だけ割引」の投稿は治療院でも使えますか

医療機関は医療広告ガイドライン、接骨院はあはき・柔整広告ガイドラインの制限があります。費用の強調や体験談の再シェアは、そのまま使わないでください。

インスタとホームページ、どちらを先に整えますか

問い合わせが来ない原因が受け皿にあることが多いので、僕はホームページと地図を先に見ます。本の最終章も、インスタ単体で完結させない設計をすすめています。

まとめ|投稿の前に、誰の悩みを1つ選ぶか

『インスタで売れる全技術』(津金澤健人さん)を読んで、院長への答えは「投稿の前に、誰の悩みを1つ選ぶかを決めましょう」になりました。

ホームページの原稿と同じ手順です。

インスタで人柄を伝えて、Googleマップで場所と口コミを見せて、ホームページで施術と料金を確かめてもらう。

この役割分担は、本の最終章の考え方を治療院に当てはめたものです。

2026年8月3日に取った新潟市の接骨院110院超の名簿を調べたとき、インスタかLINEの窓口が名簿で確認できたのは5院だけでした。多くの院は、まだ投稿の前の段階にいます。

道具が変わっても、最初に決めるのは「誰の悩みか」です。そこを飛ばすと、投稿を何本増やしても予約は動きません。

「インスタは頑張っているのに問い合わせが来ない」状態なら、地図とホームページ側が受け止められていない可能性のほうが高いです。

まず自分の院のホームページと地図を開いて、予約までの道が途中で切れていないかを確かめてみてください。

受け皿側を一緒に見てほしいときは、こちらから送ってください。

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