「ホームページを作り終えてから、補助金があると知りました」
Yahoo!知恵袋でホームページと補助金の相談を読んでいくと、この形の質問が繰り返し出てきます。1年前に100万円かけて作ったが対象になるか。去年支払った制作費でも間に合うか。ほぼ完成しているサイトで申請できるか。
僕は新潟で医療と士業のホームページを作っていますが、補助金の申請代行はしていません。それでも見積もりを出すと「これ、補助金は使えますか」と聞かれることが多いので、実際の相談と公募要領の原文を突き合わせました。
結論を先に書きます。2026年9月9日にYahoo!知恵袋の質問ページを30件開き、ホームページやウェブサイトが主題だった26件を数えました。いちばん多かったのは、制度の名前や金額の話ではありませんでした。「発注と支払いの順番」を取り違えた相談が5件で最多です。 そして小規模事業者持続化補助金の公募要領には、補助の対象になるのは「交付決定日以降に発生し補助事業期間中に支払が完了した経費」と書かれています。作ってから探しても、原則として間に合いません。
いま見積もりを持っていて迷っている方は、無料のサイト診断に事業の内容と作りたい時期を送ってください。採択されるかどうかは判定できませんが、公募要領のどの条件で引っかかりそうかは見て返せます。
<!-- def --> ウェブサイト関連費とは、小規模事業者持続化補助金の経費区分の1つで、販路開拓のためにウェブサイトやECサイト、システムを開発・構築・更新・改修・運用するのに要する経費のことです。
何を、どうやって数えたか
測定日は2026年9月9日です。
Yahoo!知恵袋を5つの言葉で検索しました。「ホームページ 補助金」「ホームページ制作 補助金」「持続化補助金 ホームページ」「IT導入補助金 ホームページ」「ホームページ 助成金」の5つです。
検索結果の総件数は、「ホームページ 補助金」が2,000件超、「ホームページ 助成金」が1,100件超と表示されました。この総件数は分母にしていません。 開いてみると、住宅・エコカー・結婚といった別の補助金の相談がかなりの割合で混ざるからです。
分母にしたのは、検索結果の一覧を7ページぶん(70件)読み、ホームページの相談と読み取れたものを上から順に30件開いて、本文と回答まで読んだ件数です。開いたあとで題材が違ったもの(複合機の購入、申請フォームの入力欄、補助金全般の内部告発など)が4件あり、これを外した26件で数えました。
質問文はそのまま引用していません。相談者が特定できない形に要約しています。
条件の裏づけには、小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>第20回の公募要領(第8版・PDF)を使いました。以下の鉤括弧はすべてこのPDFの原文です。
ひとつ、この記事で書けないことも先に書いておきます。原文を読んだのは持続化補助金の第20回だけです。 相談の半分近くに出てくるIT導入補助金は公募要領を読んでいないので、この記事ではその条件を書きません。
相談26件は、何を聞いていたか
聞いていることを1件につき1つに割り当てて数えました。
| 聞いていたこと | 件数 |
|---|---|
| 自分の事業や経費が対象になるか | 15 |
| もう作った・もう払ったあとでも使えるか | 5 |
| 受給・採択したあとの扱い(経理・計画の変更) | 2 |
| 業者とのトラブル、不正の疑い | 2 |
| 申請書類の書き方 | 1 |
| 補助金を使って作る制作会社の側になる方法 | 1 |
相談した人の立場も記録しました。事業を営んでいる本人が20件、事業所の従業員が2件、立場を書いていない検討中の人が3件、ホームページ制作の側が1件です。
もうひとつ目についたのは、26件のうち6件は補助金の名前が1つも出てこないことでした。「ホームページ制作に使える助成金はありますか」という形で、制度を指さずに聞いています。制度ごとに条件が違うので、名前が決まらないうちは調べようがありません。
ホームページに補助金は使えるのか
使えます。ただし条件が3つあって、そのうち2つは知恵袋の相談ではほとんど話題になっていませんでした。
第20回の公募要領から、ウェブサイト関連費の条件をそのまま引きます。
- 「ウェブサイト関連費のみによる申請はできません。必ず、ほかの経費と一緒に申請してください。」
- 「当経費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)です。」
- 「ウェブサイトおよびシステムを50 万円(税抜き)以上の費用で作成・更新する場合、当該ウェブサイトおよびシステムは『処分制限財産』に該当し(中略)一定の期間(通常は取得日から5 年間)において処分(補助事業目的外での使用、譲渡、担保提供、廃棄等)が制限されることがあります。」
ホームページを作るだけの計画では申請が受け付けられません。看板やチラシなどの広報費、機械装置等費といったほかの経費と組み合わせた計画にする必要があります。そしてホームページの部分について受け取れる額は、30万円が上限です。
なお第20回では、以前あった「ウェブサイト関連費は補助金交付申請額の4分の1まで」という割合の制限が公募要領から外れています。
全体の枠も原文どおり書いておきます。補助上限は50万円、補助率は3分の2です。インボイス特例の対象事業者は50万円、賃金引上げ特例の対象事業者は150万円が上乗せされます。
対象になる事業者の規模も決まっています。商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は常時使用する従業員が5人以下、宿泊業・娯楽業と製造業その他は20人以下です。この人数に会社役員と同居の親族従業員は含まれません。
いちばん多かったのは「作ってから知った」
26件のうち5件が、もう作った、もう払ったあとで補助金を探していました。
公募要領は、補助対象になる経費の条件を3つ挙げています。その2つ目が「交付決定日以降に発生し補助事業期間中に支払が完了した経費」です。交付決定より前に発生した費用は、内容が合っていても外れます。
交付決定は、申請してすぐ下りるものでもありません。公募要領には「交付決定には、採択後、詳細な見積書が速やかに提出された場合でも、採択発表から概ね1〜2 か月かかる場合があります」との記載があります。
順番はこうなります。
- 経営計画と補助事業計画を書く
- 地域の商工会・商工会議所に事業支援計画書(様式4)を発行してもらう
- 申請する
- 採択の発表を待つ
- 交付決定の通知を受け取る
- ここではじめて制作会社に発注する
- 作る、支払う、実績報告を出す
6番より前に発注して支払った分は、原則として補助の対象から外れます。知恵袋でリニューアルの相談にこの点を答えていたのは、商工会の職員だと名乗る回答者でした。採択決定通知書と交付決定通知書を受け取ってから発注する、支払い後の申請はできない、という内容です。
見積もりを取っておくこと自体は問題になりません。止まるのは発注と支払いです。ここを分けて考えると、動ける時期が見えてきます。
「補助金でホームページを作りませんか」と電話が来たら
26件のうち2件は、制度の中身ではありません。相手とのトラブルでした。
1件は、助成金を使ってホームページを作れるという営業電話を受けて話を進めたところ、届いた書類がローン契約書だったという相談です。回答では、事業者どうしの契約にはクーリング・オフが使えない場合があること、助成金の名前と金額を先に確認することが指摘されていました。
もう1件は、補助金を受けて制作を委託したあと業者と連絡が取れなくなり、契約を解除しようとしたら「サイトを削除すると補助金の不正受給になる」と言われたという相談です。
2件目については、公募要領を読むと相手の言い分の出どころが分かります。50 万円(税抜き)以上で作ったサイトは処分制限財産に当たり、「処分制限期間内に当該財産を処分する場合には、必ず補助金事務局へ承認を申請し、承認を受けた後でなければ処分できません」という条項です。承認を得ずに処分すると、交付取消と返還命令の対象になり得ます。
ただし公募要領には、続けてこうも書いてあります。「補助金の交付を受けた補助事業の目的を遂行するために必要なホームページの改良や機能強化は、補助金事務局への事前承認申請等が必要となる『処分』には該当しません。」直したり足したりまで止まるわけではありません。
判断が要るところなので、言われたことをそのまま受け取らず、事務局に直接確認するのが早いです。連絡先は公募要領と事務局サイトに載っています。契約でつまずいたときに先に見る場所は、ホームページの契約を解約できないときにまとめています。
第20回は、いつまでに何をすればいいか
第20回の日程を公募要領から書き出します。
| 項目 | 日付 |
|---|---|
| 申請受付開始 | 2026年11月5日(木) |
| 事業支援計画書(様式4)の発行受付締切 | 2026年12月4日(金) |
| 申請受付締切 | 2026年12月15日(火)17時 |
| 補助事業実施期間 | 交付決定日から2028年3月31日(金)まで |
| 実績報告書の提出期限 | 2028年4月10日(月) |
締切が12月15日でも、様式4の発行受付は12月4日で締まります。この書類は自分では作れません。地域の商工会か商工会議所に相談して発行してもらうものなので、逆算すると11月のうちに窓口へ行っておくことになります。
もう1つ、発注先の選び方にも条件が付いています。「補助事業における発注先(委託先)の選定にあたっては、発注総額(1 件あたり)が 50 万円超(税込)を要するものについては、2 者以上から見積を取り、より安価な発注先(委託先)を選んでください。」
ホームページ制作は50万円を超えることが多い買い物です。補助金を使うつもりなら、はじめから2社以上に声をかける前提で動くほうが手戻りがありません。見積書の比べ方は見積もりを3社取ったのに選べないときに項目ごとに書きました。制作費そのものの相場感は新潟の制作会社27社の料金公開状況が参考になります。
よくいただく質問
ホームページの制作費だけで持続化補助金に申請できますか
できません。公募要領に「ウェブサイト関連費のみによる申請はできません。必ず、ほかの経費と一緒に申請してください」と書かれています。広報費や機械装置等費と組み合わせた計画にします。
もう作ったホームページの費用を、あとから申請できますか
原則できません。補助の対象になるのは「交付決定日以降に発生し補助事業期間中に支払が完了した経費」です。交付決定より前に支払った分は外れます。知恵袋でも、この順番を聞いた相談が26件中5件ありました。
ホームページ分はいくらまで補助されますか
ウェブサイト関連費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)です。全体の補助上限は50万円、補助率は3分の2で、インボイス特例や賃金引上げ特例の対象なら上乗せがあります。
自分で作った場合も対象になりますか
自社でやった作業に対する人件費は、公募要領が挙げる経費区分に入っていません。区分は機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費の8つです。知恵袋でも自社制作の可否を聞いた相談があり、回答が割れていました。事務局か商工会・商工会議所に確認するのが確実です。
制作会社が申請を代行してくれますか
申請の手続きは事業者本人が行うものです。制作会社が見積書や仕様の説明を手伝うことと、申請そのものを代わりに出すことは、分けて考えてください。知恵袋には申請代行業者の不正受給について相談した投稿もありました。
申請すれば採択されますか
採択審査があるので、出せば通るというものではありません。公募要領には審査の観点が並んでいます。補助金は先に自分で支払ってからあとで戻る仕組みなので、いったん全額を用意できるかも先に確かめておいてください。
まとめ|ホームページに補助金は使えるのか
- 使えます。ただしウェブサイト関連費だけでは申請できず、ほかの経費と組み合わせます
- ホームページ分の上限は30万円(税込)。全体の補助上限は50万円、補助率は3分の2
- 対象になるのは、交付決定日以降に発生して補助事業期間中に支払いが終わった経費
- 第20回は申請締切が2026年12月15日17時、様式4の発行受付締切は12月4日
- 50 万円(税抜き)以上で作ったサイトには、通常5年間の処分制限が付く
知恵袋の26件で最も多かった相談は「もう作ってしまったが使えるか」でした。知る前に発注してしまうと、いちばん基本の条件で外れます。これから作る方は、発注を交付決定のあとに回すだけで、この条件は満たせます。
検討中の方は、無料のサイト診断から事業の内容と作りたい時期を送ってください。採択されるかどうかは判定できませんが、公募要領のどの条件に当たりそうかと、いま手元にある見積もりの読み方はお返しします。制作と保守の料金はサービスのページに公開しています。
出典(2026年9月9日に確認)
- 小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>第20回 公募要領(第8版)/小規模事業者持続化補助金事務局(商工会地区)
- 中小企業庁「『小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>(第20回)』の公募要領を公開しました」
- Yahoo!知恵袋 検索結果および質問ページ(30件を閲覧し、26件を集計)
